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でおひでおのブログ

楽しい芸術生活。

淀川長治映画塾の思い出


部屋の整理をしていたところチラシが出てきたので、今回は映画イラストの番外編として淀川長治映画塾について少し書いてみたいと思います。

僕が大学生の頃、アテネ・フランセ文化センターで行われた、淀川さんのお話を聞いてから映画を観るという、今考えると大変贅沢な催しでした。林主幹と違い日記などつけていなかったため、うろ覚えの状態で、何とか少しでも思い出しながらになります。幸い、「淀川長治映画塾」(講談社文庫)という本を見つけたのでそれを参考にしました。

映画塾のことは新聞で知ったか、映画雑誌で知ったか覚えていませんが、とにかく先ずは1991年2月22日の開講記念講演に行きました。内容はほぼ忘れてます(苦笑)。その日上映された映画はセシル・B・デミル監督の「チート」(1915)と「キング・オブ・キングス」(1927)。「チート」に主演の早川雪州が悪役だったため反対の声があがり日本では上映出来ず、文化が分からない日本は駄目だというような話をされたのだけ覚えています。それと無声映画のため伴奏もなく、無音の画面をずっと見るのは苦痛だったのも思い出しました。

映画塾は大体月に一回のペースで開催され、僕が行ったのは初めの一、二年だけだったので、全部で何回あったのかは分かりません。文庫本が出た1995年2月現在で22回行われたとありました。

僕が次に行ったのは4月27日、演題は「バール・ホワイトは私の母、姉である。・・・」、映画は「連続活劇物語」と「ポーリンの危難」(1914)。パール・ホワイトの顔も思い出せませんが、毎回危機一髪のところで終わって次回に続くという連続映画で、これはテレビドラマや漫画の連載と同じですね。この時に淀川さんから、その当時は映画館内で「おせんにキャラメル~♪」と売り子さんがお菓子を売っていた話を聞いたような気がします。

次が5月25日、「ヘレン・モーガンはブロードウェイ最高の芸者だった。・・・」、映画は「喝采」(1929)。内容はすっかり忘れてしまいましたが、この日は講演が終わった後、淀川さんの新刊が出るということでサイン会がありました。ぼくもサインして頂きました(写真)。しかもこの日は淀川さんの82歳のお誕生日でした。

その次は7月27日、「文学を語る=谷崎潤一郎と泉鏡花=」と題する講演と映画「歴史は女で作られる」(1955)。これはお話も映画も全然覚えてません。文庫本にも収録されてませんでした。

そして10月12日、「=ウィル・ロジャースとジョン・フォード=」で、映画は「周遊する蒸気船」(1935)。淀川さんのお話は例によって忘れましたが、この映画がとても面白かったのだけはよく覚えています。チラシを見ると日本語字幕なしで当日あらすじ配布と書いてありましたが、そんな記憶は全くなくて、ラストにかけてが本当に面白くて、いつかまた観たい作品です。

11月9日、「=ウォルター・ヒューストンとルイス・マイルストン=」、映画は」雨」(1932)。これも全然覚えてません。淀川さんは本題に入る前に最近の映画のことも話されるんですが、この時にピーター・グリーナウェイ監督の「プロスぺローの本」を強くお勧めしたので観に行ったはよく覚えています。なぜかというとクリスマス・イブに一人で渋谷のシネマライズに行ったからです(笑)。映画で使われたワダ・エミ制作の豪華衣装が飾られていたのが今でも目に焼き付いています。

翌92年2月22日、「=カール・ドライヤー=」、映画は「吸血鬼」(1931)。うーん、これも覚えてないです。

そして多分最後に行ったのが、4月25日の「スラップス・コメディを語る」の第1回、映画は「チャップリンのスケート」(1916)、「コニ―アイランド(デブ君の浜遊び)」(1917)、「雑貨屋」(1920)、「お山の大将」(1924)。薄っすらデブ君を観たような記憶が、でもほとんど忘れてます。これも文庫本にも載ってませんでした。
こうしてみるとほとんど忘れているのに自分でもあきれるばかりです。

直接映画とは関係のないお話で印象に残って覚えているもの。まず講演の初めに淀川さんが、「今日は何日ですか?」と聞きます。すると「〇日ですね。〇日は一年に十二回あります。〇月〇日は年に一回、では〇年〇月〇日はどうですか、一回しかありません。今日はたった一回しかない貴重な日なんです。だから今日は一生懸命お話しますから、皆さんも一生懸命聞いてくださいね」、というもの。
それから、モットーとして「苦労来たれ」」、「今まで嫌いな人には会ったことがない」などおっしゃってました。

またいつだったか、アサヒグラフの密着取材が入っていて、講演の終わりにみんなで集合写真を撮ったことがありました。しばらくしてアサヒグラフを見ると、確認できるのは前列にいた人だけで、僕は暗がりの中でいるのかいないのか分からなかったので買いませんでした。今思うと買っておけば良かったと後悔してます。

それから淀川さんが登壇される時に観客に声を掛けられる時があって、僕も一度、何故か「お子さんいるの?」なんて聞かれたことがありました。まだ大学生で結婚もしてないのに返答に困ってしまいました。老けてみえたんでしょうか(笑)。

後日談ですが、淀川さんが僕の通っていた大学で講演されたことがあって聞きに行きました。その時も終了してからサイン会があったのに、前サインもらったから今回はいいかとパスしてしまったのです。これも今は後悔しています。

反省する点としては、やはり日記など記録しておかなかったことですね。それからよく忘れている(笑)。また映画も見直したいです。

淀川さんは映画の知識はもちろん、講演中はずっと立っていらっしゃったし、大変情熱的で本当に素晴らしい方でした。もっと行けばよかったなぁと、これも後悔です。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。




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