楽しい芸術生活。
誰も姿を見た者はなく
足音すら聞いた者もいない
しかし怪獣は確かにその町の上にのしかかりつつあった
やがて人々の中に
足音を聞いた
姿さえ見た
という者が現れた
だが多くの人々はそれらの言葉を一笑に付した
それにつれて町には重苦しい空気が漂い始めた
けれども怪獣のせいだと考える者はほとんどいなかった
その果実を怪獣に掠め取られていることには全く気がつかなかった
今ではその町と同化して
ただ静かに貪り食らうばかり
その足音を聞く者もない